中村 誠基先生
神戸北野Nデンタルクリニック 院長
【経歴】
2014年 広島大学歯学部 卒業
2014年 広島大学病院口腔総合診療科 研修
2015年 広島大学病院口腔総合診療科 研修修了
2015年 医療法人社団 松田歯科医院 勤務
2020年 同病院 副院長歴任
2021年 神戸北野Nデンタルクリニック開院
【資格・所属学会】
臨床歯周病学会
ITIメンバー
船越歯周病研修会プラチナ会員
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キレイライン公式ブログ担当の小田です。
「子供の歯のためにはフッ素入り歯磨き粉を使った方がいいのよね…でも、フッ素って危険とも聞くし、もしかして避けた方がいいのかな?」
そんなパパさん、ママさん。答えは1つです。お子様の未来の歯のことを考えるなら、歯磨き粉はフッ素入りを選んでください。
そしてさらに「フッ素濃度が明記されているもの」であることがおすすめです。
「フッ素配合」と書いてあるだけでは、配合されているフッ素濃度はわかりません。
虫歯予防に効果的であり、かつ安全を考慮したフッ素濃度は年齢によって異なるため、年齢に応じたフッ素濃度の歯磨き粉を選ぶことが重要なのです。
「でもフッ素って危険とも聞くし…本当にフッ素入りの歯磨き粉を使っていいの?どう選ぶのが正解なの?万が一飲んでも大丈夫?」
そんな疑問や不安も、まとめてこの記事で解決!
フッ素濃度に着目した、歯科衛生士さんおすすめの子供向け歯磨き粉も一緒にチェックしましょう。
フッ素入りの歯磨き粉は子供に危険!?何歳から使える?
結論からお答えします。フッ素入りの歯磨き粉は、通常の使い方をしていれば危険性はありません。
1回分の歯磨き粉をその都度飲んでしまったとしても、おもに尿中に排出されるため健康面に問題はないのです。
フッ素は、WHO(世界保健機関)が「虫歯予防に効果的である」と認め、使用を推奨している成分。
さらに、フッ素は海藻や緑茶、魚介類など食べ物の中に当たり前に入っている成分であり、特殊な薬品ではありません。
しかし、塩や砂糖も食べすぎれば毒となるように、フッ素も摂りすぎると中毒を起こす危険があります。
その目安は、フッ素濃度950ppmの子供用歯磨き粉なら1~2本丸々飲んでしまった場合。
フッ素入り歯磨き粉は、お子様の手の届かないところに保管してください。
フッ素入り歯磨き粉は安全性が高いものとわかったところで、いつ頃から使い始めるのがおすすめか見ていきましょう。
歯が萌出したら早めに使い始めるのがおすすめ
専門団体によって見解は分かれますが、フッ素入り歯磨き粉は、最初の乳歯が萌出(ほうしゅつ)したタイミングでスタートするのがおすすめ。
赤ちゃんは生後6ヶ月程度で最初の歯が生えてきますが、生えたばかりの歯はやわらかく、むし歯になりやすいのです。
この時期からフッ素入り歯磨き粉を使い始めることで、抵抗力の強いむし歯に負けない歯に育てるのに役立ちます。
1歳半ごろからは、歯科医院でのフッ素塗布も併用するとさらに虫歯予防に効果的。
年齢ごとに適したフッ素濃度や歯磨き粉の種類は異なるため、お子様の年齢に応じたアイテムをしっかり選んであげてください。
どう選ぶのが正解か、次の項目で一緒にチェックしましょう。
子供の年齢に合ったフッ素歯磨き粉の選び方
最初にチェックしてほしいのは、フッ素濃度です。
日本では、90%以上の歯磨き粉にフッ素が配合されていますが、フッ素濃度が書かれていない商品も多くあります。
むし歯を予防し強い歯にするためには、お子様の年齢に合わせた濃度のフッ素が配合されている商品を選ぶことがおすすめです。
【ポイント1】フッ素濃度
歯磨き粉のフッ素濃度 | |
---|---|
6ヶ月(歯の萌出)~2歳 | 500ppm(泡タイプの歯磨き粉なら1,000ppm) |
3歳~5歳 | 500ppm(泡タイプまたはフッ素の種類がMFP(※)ならば1,000ppm) |
6歳~14歳 | 1,000ppm |
15歳以上 | 1,000~1,500ppm |
表は日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会(編)「フッ化物局所応用実施マニュアル」2017を一部改変
1回の歯みがきに使う少量の歯磨き粉をうっかり飲みこんでしまっても、基本的には問題ありません。
「まだうがいができないから心配」という場合は、フッ素濃度が100ppmと低めの配合で、赤ちゃんから使えるうがい不要なタイプの商品を選ぶのも1つの手段です。
また、一口に「フッ素」といっても、実は歯磨き粉に配合されているフッ素には大きく分けて3種類あります。
- フッ化ナトリウム(NaF)
⇒代表的なフッ素。素早くはたらき歯の表面を強くする - モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)
⇒効果がおだやかで、歯の深部に浸透する - フッ化第一スズ(SnF2)
⇒高い殺菌効果があり、歯周病予防にも効果的
◆ さらにフッ素の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
【ポイント2】うがいが上手にできるかどうか
水を口に含んで頬を動かす「ぶくぶくうがい」が上手にできる年齢は、個人差が大きいもの。
3歳でできる子は、全体の半分程度です。(※日本歯科医師会調べ)
ペースト状の歯磨き粉は発泡剤が含まれているものが多く、ぶくぶくうがいが上手にできないうちに使うと、「口が泡だらけのままで気持ちが悪い」と感じてしまうかもしれません。
ぶくぶくうがいが上手にできないうちは、歯磨き剤の吐き出しやうがいの必要がない泡やスプレー、ジェルタイプのフッ素入り歯磨き粉を使うことがおすすめです。
子供におすすめのフッ素入り歯磨き粉
ここからは、「選び方」をもとに歯科衛生士さんに聞いた、お子様におすすめのフッ素入り歯磨き粉をご紹介します。
お子様向けのフッ素濃度であることはもちろん、お子様のひとり磨きや仕上げ磨きにも使いやすい薬剤のタイプ(ジェル、泡、スプレー)、フルーツなどのやさしいフレーバーで、続けやすいアイテムを選びました。
うがいが苦手でも使いやすい泡タイプ
★ ライオン DENT. Check-Up foam(チェックアップフォーム) 医薬部外品
出典:https://www.lion-dent.com/client/products/basic/checkup_f.htm
- 内容量:100mL
- フッ素配合量:950ppm
- メーカー希望患者価格:1,100円
歯科医院専売品の泡タイプ歯みがき。お口のすみずみまでサッと広がる泡タイプなので、フォームタイプをうまく歯に塗り広げられないお子様におすすめ。
研磨剤無配合で歯に優しく、ミックスフルーツのやさしい香味だから家族みんなで使えます。1本約500回も使えるので、お財布にも優しいですよ。
赤ちゃんから使えるうがい不要タイプ
★ ゾンネボード製薬 レノビーゴ STEP0(医薬部外品)
出典:https://www.zonnebodo.co.jp/renovigo/
- 内容量:38mL
- フッ素配合量:100ppm
- 実勢価格:1,546円※編集部調べ
0歳児の赤ちゃんから始められる、スプレータイプのフッ素ケア。フッ素濃度が100ppmと低いため、歯ブラシに吹きかけてブラッシングするだけでOK。すすがなくても大丈夫です。
研磨剤・発泡剤不使用で歯にやさしいのもポイント。使い方や頻度にもよりますが、1本で約1.5~2ヶ月使えます。
発泡性で磨きやすい歯磨きペースト
★ バトラー エフペーストこども(医薬部外品)
出典:https://www.butler.jp/products/fpastekodomo/
- 内容量:70g
- フッ素配合量:約500ppm
- メーカー希望患者価格:385円
ぶくぶくうがいがしっかりできる生え変わり期のお子様におすすめ。実は生えたばかりの永久歯はまだやわらかく、とてもむし歯になりやすいのです。
「バトラーエフペーストこども」は、約500ppmのフッ素配合。フッ素ケアで、むし歯への抵抗力を高めてあげましょう。
さわやかなフルーツミントの香味で、スッキリしたみがき心地。
しっかり泡立つペーストタイプなので、ジェルタイプからのステップアップにも使えます。
★ GC こども用はみがき (医薬部外品)
出典:https://www.gcdental.co.jp/sys/data/item/413/
- 内容量:40g
- フッ素配合量:900ppm配合
- メーカー希望患者価格:190円
3つのフルーツフレーバーから選べる、子供用歯磨き粉。歯科医院専売品なので、歯科医院や大手インターネット通販で購入できます。
歯磨きにまだ慣れていないお子様や、お子様の健康な歯をサポートする特徴がたくさん。
低発泡性で磨きやすい
歯にやさしい甘味料、キシリトール配合
低研磨性で歯を傷めない
歯磨きが楽しくなるカラーペースト
可愛いカラーペーストで、毎日の歯磨きが楽しくなりそうですね。
歯磨き粉以外のおすすめフッ素配合アイテム
★ ライオン Check-Up gel(チェックアップ ジェル)医薬部外品
出典:https://www.lion-dent.com/client/products/basic/checkup_g.htm
- 内容量:バナナ、ピーチ、グレープ、レモンティー 60g/ミント 75g
- フッ素配合量:バナナ500ppm/ピーチ、グレープ、レモンティー950ppm/ミント1,450ppm
- メーカー希望患者価格:バナナ、ピーチ、グレープ、レモンティー/638円
- メーカー希望患者価格:ミント/693円
フレーバーによってフッ素濃度が違うジェルシリーズ。
乳歯時期のお子様はバナナ、乳歯と永久歯の混合歯列時期にはピーチ、グレープ、レモンティーからお好きなフレーバー、15歳以上のお子様や大人にはミントと使い分けることができますよ。
ブラッシング後に塗り広げ、少量(15ml)の水で1回だけすすぎます。ソフトジェルだから、唾液や水に溶けやすくお口のすみずみまでフッ素が広がりやすいのもポイントです。
【保存版】フッ素入り歯磨き粉の正しい使い方
「子供によさそうなアイテムは見つかったけど、歯みがき1回分の量って結局どのくらい?うがいはするの?しないの?」
そんな疑問について、この項目で解決していきます。
歯ブラシに出す歯磨き粉の適量は?
年齢別に、1回の歯みがきで使う歯磨き粉の適切な量を確認しましょう。
年齢 | 使用量の目安 |
---|---|
6ヶ月(歯の生え始め)~2歳 | 切った爪程度のごく少量 |
3歳~5歳 | 5mm以下 |
6歳~14歳 | 1cm程度 |
15歳以上 | 2cm程度 |
※爪は子どもの爪を想定
※日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会(編)「フッ化物局所応用実施マニュアル」2017を一部改変
歯磨き粉の量が少なすぎるとフッ素の効果が得られにくく、多すぎると泡で磨いたつもりになったり、薬剤を誤って飲み込んでしまったりすることにつながります。
ただ、こちらはあくまでも目安。あまり神経質にならず、楽しく歯みがきを行いましょう。
歯磨きあとのうがいは?
歯みがきをした後、何度もうがいをしてしまうと、せっかくのフッ素がお口に残りません。
うがいは少量の水で1回だけ。年齢別の目安は、以下のとおりです。
年齢 | うがいなどの注意点 |
---|---|
6ヶ月(歯の生え始め)~2歳 | フッ素入り歯磨き粉は、仕上げ磨きの時に保護者が使用する |
3歳~5歳 | 歯みがき後5~10mlの水で1回のみうがいをする |
6歳~14歳 | 歯みがき後10~15mlの水で1回のみうがいをする |
15歳以上 | 歯みがき後10~15mlの水で1回のみうがいをする |
進化するフッ化物配合歯磨剤のフッ化物イオン濃度、応用方法およびう蝕予防効果を一部改変
ぶくぶくうがいや吐き出しができない2歳までのお子様は、フッ素入り歯磨き粉で仕上げ磨きをした後、お口の周りを軽く拭き取るだけで大丈夫です。
うがいが上手にできるようになったら、歯みがき後に年齢に適した水量で1回だけうがいをします。
うがいが上手にできるようになる年齢は、【ポイント2】うがいが上手にできるかどうかの項目にあるように個人差が大きいので、あせらず様子を見てあげてください。
また、仕上げ磨きは永久歯が生えてからも続けるのがおすすめなので、仕上げ磨きの時にフッ素入り歯磨き粉でケアしてあげてもいいですね。
◆ 「仕上げ磨きって、どのように、何歳までやるのが正解?」と悩んだら、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。
虫歯予防にフッ素をおすすめする理由
フッ素には、このような3つのはたらきがあります。
- 再石灰化の促進
- 歯質の強化
- 虫歯菌の活動を抑制
再石灰化とは、溶けだしてしまった歯を修復すること。フッ素は再石灰化の力を助けます。
また、歯の質を酸に強い構造に変えることで、虫歯菌による酸への抵抗力を高めます。
さらに虫歯菌の手助けをする酵素の活動を弱めることで、虫歯菌じたいの活動も抑制します。
この3つのはたらきがあるため、虫歯予防にフッ素を活用することがおすすめなのです。
乳歯でも永久歯でも生えたばかりのやわらかい歯は、最も効果的にフッ素を取り込むことができます。
6ヶ月ごろからの歯が生え始めるタイミングと、6歳ごろからの歯が永久歯に変わるタイミングは、いわばフッ素ケアのゴールデンタイム。
フッ素入りの歯磨き粉を使ったフッ素ケアはもちろん、歯科医院でのフッ素塗布も定期的に行うと効果的ですよ。
◆ フッ素塗布については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
お子様の歯のことを考えるなら、フッ素塗布などをきっかけに「かかりつけの歯科医院」を見つけておくのがおすすめ。虫歯予防以外にも、
「前歯が前方に突き出ている気がする。これって成長したら治る?」
「ポカンと口を開けていることが多く、気になる。」
「指しゃぶりの癖が抜けない…歯並びに影響する?」
など、お子様のお口周りの不安や心配事を相談できる歯科医院があると安心ですよね。
もし「かかりつけの歯科医院に、お口ポカンや指しゃぶりの癖のことまで相談していいのかな?」と悩むことがありましたら、ぜひキレイラインKIDS(キレイラインキッズ)の提携クリニックにご相談ください。
キレイラインKIDSは、お子様の口呼吸や指しゃぶりなどの悪習癖を改善し、永久歯が正しい位置に生えるための土台作りをサポートする治療プログラムです。
◆ キレイラインKIDSについて詳しくは、この記事でまとめています。お力になれることがあるはず。ぜひチェックしてみてください。
フッ素入りの歯磨き粉で毎日ケア!強い歯に育てよう
フッ素は虫歯予防にとても有力な成分ですが、あくまでサポート役。むし歯の原因につながる「歯垢」を除去する力はありません。
フッ素配合の歯磨き粉を使うことに加え、正しい歯みがきによるブラッシングで、しっかり歯垢を除去しましょう!
また、お子様が乳歯列の時期か、永久歯への生え変わりの時期かによって、歯みがきの仕方やケア方法も違ってきます。
「0歳6ヶ月から歯みがきを開始するって…どうやって!?」
「歯の生え変わり時期はでこぼこしてて磨きづらい…」
など、年齢別のお悩みはこちらの記事をチェックしてみてくださいね。
フッ素入り歯磨き粉を使った正しい歯みがきが、お子様の強い歯を育てることにつながります。歯科医院も活用し、賢く虫歯予防に役立てましょう!
※本記事は2024年4月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。
※保険適用外の自由診療となります。
※掲載している料金はすべて税込み価格です。