こんにちは、キレイライン矯正公式ブログ担当の小田です。
「歯列矯正って医療費控除の対象になるのかしら?」
「子供の歯科矯正なら対象になる場合もあるの?」
「歯列矯正の医療費控除はどうやって手続きするのかしら?」
などなど、子供の歯科矯正の医療費控除について疑問を持っている人も多いですよね。
矯正歯科治療は、小児矯正の場合でも100万円近くかかることもあるだけに、とっても気になるところ。
基本的に、矯正歯科治療は保険診療対象外の自由診療。大人の歯科矯正治療だけでなく、子供の場合も同様です。
ただし例外的に、医療費控除の条件を満たしている場合、対象となるケースがあります。
そこで今回は
- 医療費控除とは
- 医療費控除の対象となる歯科矯正治療
- 医療費控除の金額
- 医療費控除を受けられる場合の手続き方法
についてくわしく解説していきます。
治療費が心配で子供の歯科矯正をためらっている保護者の方は、ぜひ最後までご覧になってみてくださいね。
医療費控除とは?
「医療費控除って聞いたことはあるけれど、詳しくはわからないかも…。」という方も多いですよね。
医療費控除(上限200万円)とは、1月から12月の1年間に支払った医療費が10万円を超える場合(1年間の総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)、確定申告を行うことで、その超過分の金額に対して所得控除を受けることができる制度です。
この医療費とは、本人だけでなく、生計を一にする配偶者や子供の医療費が合算されます。
同じ家に住んでいない大学生の子供や、田舎の両親に仕送りをしている場合も同一生計としてみなされるため、医療費を合計して申告することができます。
所得控除って?
所得控除とは、一定の条件を満たしている納税者に対して、税金の負担を調整してくれる制度のこと。
所得控除には、基礎控除、生命保険料控除、寄付金控除、配偶者控除、障害者控除、住宅借入金特別控除などさまざまなものがあり、そのうちのひとつとして「医療費控除」があります。
控除金額や手続き方法についてはのちほど詳しく紹介します。
矯正歯科治療は医療費控除の対象になる?
「医療費控除といえば、あくまでも病気や怪我などにかかった治療費が対象で、歯をキレイにする美容目的の矯正治療費などは対象にならないのでは?」
と思っている人も多いですよね。
歯の見た目をキレイにする審美目的の歯科矯正は、大人も子供も原則として医療費控除の対象となりません。
ただし、例外的に医療費控除の対象となる可能性もあります。では、矯正歯科治療が医療費控除対象となるのはどんな場合なのか、具体的にみていきましょう。
子供の矯正歯科治療の場合
子供の歯科矯正治療の場合、歯の見た目をキレイにする審美目的というよりは、今後の発育や健康上の問題を改善していくために治療するケースが多くあります。
そのため、子供の歯科矯正治療は、治療目的と認められ医療費控除の対象となる可能性は高いです。
具体的な医療費控除の対象になる条件
歯並びの悪さが発育段階の子供の成長に悪影響を与える可能性があり、矯正歯科治療が必要であると認められた場合です。
たとえば、「しっかり咬むことができない」「はっきり発音できない」「顎の関節に異常がある」などが対象です。
歯科医師が「不正咬合が子供の成長に悪影響を与える可能性があるため、矯正歯科治療が必要」と診断した場合、歯科医師の診断書(有料)を確定申告の際に一緒に提出することで、医療費控除を受けることができます。
しかし子供の歯列矯正でも、見た目をキレイにする審美目的であれば、医療費控除の対象にはなりません。
一般的には、中学生くらいまでは子供の歯列矯正として見なされることが多く控除対象となる可能性は高いです。
しかし、最終的な判断はお住まいの管轄税務署が行いますので、事前に税務署へ相談されることをおすすめします。
大人の矯正歯科治療の場合
基本的に、大人の矯正歯科治療は保険診療対象外の自由診療です。
歯並びをキレイにする審美目的であり、必ずしも治療の必要がないと判断できる場合は、医療費控除の対象外です。
「歯並びの悪さが原因で、発音や咀嚼などに悪影響を与えており、これらの機能回復のために歯列矯正が必要」と歯科医師が診断したものに限られます。
治療目的であっても、特殊で高価な治療材料については対象外ですが、金やポーセレンといった治療材料は、一般的に歯の治療に使われているため、医療費控除の対象となる可能性は高いです。
医療費控除の対象となり手続きを受ける際は、子ども同様、歯科医師の診断書(有料)が必要です。
医控除の対象となるものはどんなもの?
医療費控除の対象となれば、確定申告をすることにより税金の一部(所得税と住民税)が戻ってきます。
どんな費用が控除の対象となるのか、くわしく見ていきましょう。
対象になる医療費
歯科矯正治療において、以下のものが控除の対象となります。
- 矯正治療に必要とされたレントゲンなどの検査費用
- 診断料
- 矯正装置代および矯正処置料、調整料
- 処方された医薬品の費用
- 治療を目的とした市販の医薬品
(鎮痛剤や口内炎パッチなど) - バスや電車など通院のための交通費
(付き添いの方の交通費も対象)
その年に支払われた医療費のみが対象となります。年をまたいでの治療費や未払いの治療費は、支払った年の医療費としてカウントされますのでご注意ください。
対象外の医療費
対象外となる医療費もあるため、しっかりと確認しておきましょう。
- マイカー通院した時のガソリン代や駐車場代
- タクシー代
(バスや電車などの公共交通機関が使えない場合は除く) - 予防のための口腔衛生用品
(歯ブラシなど)
デンタルローンやクレジット払いも控除の対象になる?
矯正歯科治療は高額になることが多く、デンタルローンやクレジットカードを使って分割払いをされている方も多いでしょう。
ローンやクレジットカード払いにおいても、現金支払い同様、医療費控除の対象となります(クレジットやローンの金利手数料は控除の対象外)。
医療費控除の申請の対象となるのは、ローンの契約が成立した年になります。
たとえば、12月にローンの契約が成立し、翌年1月から実際の治療が始まるなど年をまたぐ場合は、対象となる医療費が分散されてしまいますので、そういった点も踏まえながら、治療計画を立てたりローンを組んだりすることをおすすめします。
デンタルローンやクレジットカード払いの場合は、手続きの際ローン契約書の写し、または信販会社の領収書が必要となりますので、しっかりと保管しておきましょう。
【医療費控除の金額】還付金はいくら戻ってくる?
「ところで還付金っていくらぐらいになるの?」
と気になる方も多いでしょう。
還付金とは?
還付金とは、年末調整や確定申告において、払いすぎた税金が納税者に返還される金銭のことです。
還付金額(実際に返ってくる金額)を知るためには、まず医療費控除額と所得税率を知る必要があります。
還付金(実際に戻ってくるお金)を計算する方法を4つのステップで実際に算出してみましょう。
ステップ1. 1年間に使った医療費を計算しよう
まずは、1年間(1月1日から12月31日まで)に使った医療費の合計を計算しましょう。生計を一とする家族全員分の医療費を合算することができます。
前述した「対象になる医療費」と「対象外の医療費」を参考にしてみてください。歯科矯正治療以外に、介護や出産、入院などの対象となる医療費はさまざまあるため、国税庁のページを参考に、対象となるかどうかを確認してみてくださいね。
ステップ2. 医療費控除額を算出しよう
1年間の医療費の合計をまとめたら、そこから「対象となる期間内に補填された生命保険や損害保険などの保険金」と「10万円または総所得金額の5%のどちらか少ない額」を差し引きましょう。
差し引いた金額が「医療費控除額」となります。
ステップ3. 所得税率を確認しよう
課税される所得金額によって、所得税率は変わります。下の表を参考に、ご自身の「所得税率」と所得控除額を確認しましょう。
課税される所得金額とは、源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」から「給与控除の合計」を差し引いた額です。
所得税率と控除額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
※課税所得額は1,000円未満の端数切り捨て
※平成25年から令和19年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。
ステップ4. 還付金を算出しよう
ステップ2で算出した「医療費控除額」に、ステップ3で確認した「所得税率」を掛けたものが、還付金(実際に戻ってくるお金)になります。
還付金の具体例
医療費54万円を1年間で支払った場合
家族構成:【主人Aさん】夫(給与収入)500万円 【妻】専業主婦 【子】1人(8歳)
※世帯主であるAさんが確定申告を行った場合のケースです。
【Aさん一家が1年間に支払った医療費】54万円
【医療保険から受け取った給付金】5万円
【Aさんの給与所得控除額】144万円(給与収入500万円×20%+44万円)
※給与所得控除額の詳しい算出方法はこちらをご覧ください。
【所得控除額】合計86万円
- 基礎控除48万円
- 配偶者控除38万円
①医療費控除額を算出する
54万円(医療費)- 5万円(医療保険等で補填された金額)- 10万円(所得金額が200万円未満の人は所得の5%)= 390,000円(医療費控除額)
※Aさんの場合、差し引かれる金額は10万円になります。
②所得税率を確認する
500万円(給与収入)- 144万円(給与所得控除額)= 356万円(給与所得)
356万円(給与所得)- 86万円(所得控除の合計額)=270万円(課税される所得金額)
上記にある「所得税率と控除額の表」で確認すると、Aさんの所得税率は10%になります。
③還付金を算出する
39万円(医療費控除額)× 10%(所得税率)=39,000円(還付金)
※住宅ローン控除等、その他の所得控除は加味しない数字です。
※諸条件により実際の金額とは異なる場合もありますのであくまで参考としてご覧ください。
医療費控除を受けることで、所得税が39,000円戻ってきます(還付金)。
医療費控除は、生計を共にする1世帯が支払った医療費の合計が10万円を超えた場合、確定申告をすることにより所得税率によって、所得税が還付または軽減される制度です。徴収された源泉徴収税から、払いすぎた分として戻ってくる税金が「還付金」ということですね。
しかし、世帯のどなたが申告しても同じ金額が返ってくるというものではありません。
たとえば、共働きのご両親のお子様が矯正治療をされた場合、所得税率が高い方が確定申告をすることでより多くの還付金が戻ってきます。
Aさん一家の場合、奥様は専業主婦のため、確定申告をするのは納税者であるAさん本人となります。
医療費控除を受けられる場合の手続きの方法
前述したように、医療費控除の対象となり還付が受けられる場合は、世帯の中で一番所得が多い方が申告しましょう。
ここから、詳しい手続きの方法を紹介します。
医療費控除の手続きに必要なもの
- 申告をする年の領収書やレシート(※)
- 申告をする年の源泉徴収票
- 診断書
- 保険金で補填された金額がある場合はその金額がわかるもの
- デンタルローンやクレジットカードによる分割支払の場合は、ローン会社の契約書の写しや信販会社の領収書
- マイナンバーカード
(e-Taxで申告する際に必要) - 申告者の銀行の口座番号
(還付金の振込先口座) - 印鑑
※平成29年度の確定申告から、領収書の代わりに医療費控除の明細書の添付が必要になりました。ただし税務署から提出を求められる場合もあるため、領収書は自宅で5年間保管しましょう。平成29年分から平成31年分までの確定申告は、医療費の領収書の添付でも受け付けてもらえます。
治療途中で年をまたいでしまう場合、その年に支払われた医療費のみが対象となります。未払いの治療費は支払った年にカウントされますのでご注意ください。
子供の矯正歯科治療費以外にも、生計を一にする家族の医療費はすべて合算できます。控除の対象となる1年間にかかった医療費は、すべてまとめて申告しましょう。
手続きの方法
医療費控除の手続きは、確定申告で行います。
申告方法は、申告するときの住所を管轄する税務署に直接持参・郵送するほかに、電子申告(e-Tax)にて申告することもできます。
確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日までの1ヵ月間(開始日、終了日が土・日・祝の場合は翌日にずれます)です。
ただし、会社員など給与所得者による医療費控除の還付申告は、確定申告の期間に関わらず、1月1日から申告が可能です。
また、これまで申告し忘れていたとしても、治療から5年以内であれば、さかのぼって申告ができます。
医療費控除の還付申告はいつでも受け付けていますので、管轄の税務署で相談してみてくださいね。
書面にて作成し、直接持参・郵送する場合
医療費控除の適用を受けるためには、「医療費控除の明細書」に必要事項を記入し、確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。
国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば「医療費控除の明細書」の内容が自動で確定申告書に反映されます。
入力した金額は自動計算されますので、計算間違いなどがなく安心ですね。
なお、医療費の領収書の枚数が多い場合は、「医療費集計フォーム」をダウンロードして使用すると便利です。
手書きで記載する場合は、医療費控除の明細書を直接ダウンロードし、以下に従って記載してください。
※国税庁令和2年分 確定申告特集医療費控除の明細書の記載例より
作成した「医療費控除の明細書」のほか、源泉徴収票などの添付書類を、管轄の税務署へ直接提出もしくは郵送しましょう。
電子申告(e-Tax)にて申告する場合
電子申告(e-Tax)は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成し、自宅などからインターネット送信によって提出できるシステムです。
※国税庁【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)より
e-Taxなら、申告期間中は土日・祝日を含む全日に利用することができ、24時間いつでも提出することができます。
また、e-Taxで還付申告が行われた場合は、通常よりも還付金の振込が早くなります。書類の不備等がなければ、3週間程度で還付されます。
e-Taxでの申告方法は2種類あります。
ひとつは「マイナンバーカード方式」、もうひとつは「ID・パスワード方式」です。
※国税庁【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)より
「マイナンバー方式」は、事前にマイナンバーカードの取得と、マイナンバーカードの電子証明書を読み込むためのICカードリーダーまたはスマートフォンが必要です。
マイナンバーカードを利用することで、e-Taxの利用者識別番号と暗証番号の入力が不要になります。
「ID・パスワード方式」を利用するには、事前に税務署にて本人確認を行って発行された「ID・パスワード方式の届出完了通知」が必要です。
こちらの方法では、マイナンバーカードおよびマイナンバーカード読取対応のスマートフォンまたはICカードリーダライタは不要です。
特にe-Taxによる申告は、マイナンバーカードの申請や、ID・パスワードの取得などが必要なため、事前にしっかりと準備しておく必要があります。
申告期間になって慌てないように、ご自身の環境に合わせて申告の方法を選んでみてください。
税務署や歯科医院でご相談を
子供の歯列矯正は、治療目的として認められることが多く、医療費控除の対象となる可能性は高いです。
しかし、最終的な判断は税務署に委ねられます。
歯科医院で「診断書」を書いてもらっても、医療費控除の対象として認められない可能性もあります。
子供の矯正治療費が、医療費控除の対象になるかどうか詳しく知りたい時は、お住まいの管轄の税務署、もしくは歯科医院に直接相談してみましょう。
医療費控除の手続きは、各自で確定申告を行う必要があり少し面倒に感じますが、1年間で高額な矯正治療費を支払った方は節税のチャンスでもあります。
医療費控除の対象となる方は、ぜひともチャレンジしてみてくださいね。
※本記事は2021年2月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。