岡田和之先生
川崎フロンティア歯科 院長
【経歴】
2012年 明海大学歯学部歯学科卒業
2014年 なかい歯科クリニック勤務
2019年 あおぞら歯科クリニック勤務
2020年 サンフラワー松戸歯科勤務
2021年 ふじみがおか歯科クリニック勤務
2022年 東京プラス歯科矯正歯科勤務
2022年 川崎フロンティア歯科院長就任
◆ 川崎フロンティア歯科のキレイライン矯正予約ページはこちら
プラークコントロールとは?
キレイライン公式ブログ担当の小田です。
「プラークコントロール」という言葉、かなり一般的になってきましたよね。
健康意識の高い方は充分にその重要性を理解し、日ごろからご自身のマメな歯みがき(歯磨き)はもちろん、お子様の仕上げ磨きも欠かさない…という方も多いのでは。とても素晴らしいことです。
そもそも、プラークコントロールとは何でしょう?
「むし歯(虫歯)や歯周病の原因となる、歯垢(プラーク)の除去と付着の予防」です!
実は、単なる歯みがき(歯磨き)を指す言葉ではありません。お口の中に歯垢がない状態をキープすることを目指す言葉なのです。
なぜなら、歯垢が無ければ、むし歯(虫歯)にも歯周病にもならないから。つまり、プラークコントロールはお家でできる最大限のむし歯(虫歯)・歯周病予防といえるのです。
一度むし歯(虫歯)になり削ってしまったら、二度と元の歯には戻りません。お子様の乳歯はやわらかくむし歯(虫歯)になりやすいですし、永久歯は一生使う歯。プラークコントロールで、大事な歯を毎日ケアしてあげましょう。
そこで今回は、プラークコントロールについて徹底的にご紹介。プラークコントロールの大切さから、プロのケア方法、正しいセルフケアまでチェックし、あなたやご家族、大切なお子様の歯の健康を守りましょう!
大人も子供も!プラークコントロールが重要な理由
プラークコントロールは、歯や歯茎の健康のために大人にも子供にもとても大切。
ここでは、プラークコントロールにどんなメリットがあるのか、不十分だとどうなるのかを見ていきましょう。
むし歯(虫歯)などさまざまなお口のトラブルを予防できる
プラークコントロールで歯垢をきちんと除去し、再付着を予防することで、こんな効果が期待できます。
- むし歯(虫歯)の予防
- 歯周病の予防
- 歯石の予防
- 口臭の予防
そもそもプラーク(歯垢)は細菌の塊。細菌が生み出す酸によって歯のエナメル質が溶かされ、むし歯(虫歯)につながります。また、細菌が歯茎(歯肉)に入り込むと歯周病に。
さらに、うまく除去できなかった歯垢は歯石に変化してしまうのです!お口の汚れがそのままでは、口臭にもつながりますね。
つまり、プラークコントロールを適切に行うことで、むし歯(虫歯)・歯周病・歯石・口臭、すべての予防が可能!むし歯(虫歯)や歯周病は、正しいプラークコントロールで予防が可能な病気ともいえるのです。
むし歯(虫歯)治療で痛い思いをする前に、大人も子供も正しいプラークコントロールを習慣づけたいですね。
そもそもプラークって何?
プラークとは、歯垢のこと。
黄白色でネバネバした、歯にこびりついた細菌の塊を指します。歯垢1mgあたり、1億個以上の細菌が存在しており、「細菌の巣」でもあります。
歯垢に唾液中のミネラルがくっつき、石のように硬くなると「歯石」へと変化します。歯石へと変化しはじめるまではたった2〜3日。歯石は、歯みがき(歯磨き)やお家のケアでは除去できません。
プラークコントロールが不十分だと起こり得るリスク
プラークコントロールが不十分…つまり、磨き残しが多かったり、歯みがき(歯磨き)をサボったりするとどうなるのでしょうか。
- 歯石ができ、むし歯(虫歯)や歯周病のリスクが上がる
- 口臭のリスクが上がる
適切なプラークコントロールはむし歯(虫歯)や歯周病の予防につながりますが、逆に磨き残しが多ければむし歯(虫歯)や歯周病のリスクが上がるといえるでしょう。
それだけではなく、歯垢が歯石になるまで放置してしまうと、歯石の周りのデコボコには汚れや細菌がたまりやすいので、さらにむし歯(虫歯)のリスクが上がります。
また、歯垢に含まれる細菌は、お口の中のタンパク質を分解します。むし歯(虫歯)や歯周病でタンパク質である歯の内側や歯茎が浸食されると、きつい臭いを発生するのです。
この時に産出するガス=VSC(揮発性硫黄化合物)が、口臭の大きな原因の1つ。
VSC(揮発性硫黄化合物)の種類
- メチルメルカプタン(メタンチオール)
玉ねぎの腐敗臭に似ている - 硫化水素
卵の腐敗臭に似ている - ジメチルサルファイド(ジメチルスルフィド)
キャベツの腐敗臭に似ている
適切なプラークコントロールは、キレイな息をキープするためにも重要といえます。
子供のむし歯(虫歯)は、永久歯にも影響する?
「乳歯がむし歯(虫歯)になっちゃった!でもそろそろ生え変わりの時期だし…。」と、乳歯のむし歯(虫歯)を軽視してしまう方もいるのでは。
でもこれ、お子様の永久歯の健康やあごの発達、キレイな歯並びのことを考えるなら絶対NGなんですよ。乳歯のむし歯(虫歯)を放置すると、永久歯にもこんな悪影響が出るのです。
- お口がむし歯(虫歯)になりやすい環境なので、永久歯もむし歯(虫歯)リスクが上がる
- 乳歯のむし歯菌(虫歯菌)が永久歯に感染するリスクがある
- むし歯(虫歯)の痛みで上手く噛めず、あごの発達に悪影響が出るおそれがある
- むし歯(虫歯)で乳歯が早く抜け落ちると、両側の歯がその隙間に倒れ込み歯並びが悪化する
また、生え変わりの時期は個人差が大きいので「そろそろ生え変わるかも…」と思ってもなかなか生え変わらないことは珍しくありません。
とはいえ、育児で忙しい中、お子様のむし歯(虫歯)をマメにチェックするのは大変ですよね。そんな時はぜひ歯科クリニックを頼って、正しい歯みがき(歯磨き)の仕方をお子様と一緒に聞いたり、フッ素塗布をしてもらったりしてプラークコントロールや虫歯予防に役立ててみてくださいね。
具体的な方法は?プラークコントロールの種類
プラークコントロールやプラークコントロールにつながるケアには、こんな種類があるんですよ。
【プロにお任せ!歯科医院でのプロケア】
【自分や家族でできる!セルフケア】
次の項目で詳しく見ていきましょう。
親子で実践したいプラークコントロールの方法【歯科医院でのプロケア】
プラークコントロールの効果を維持するためには、歯科医院でプロの手も借りることがおすすめ。
自分では難しい歯の隙間の歯垢や歯石の除去、ブラッシング指導など、セルフケアにプラスして役立てましょう。
PMTC:歯科医院で行う徹底した歯面全体の清掃
PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略。歯科医師や歯科衛生士などのプロが、専門的な機械や技術を使って行う歯の徹底的なクリーニングのことを指します。
歯みがき(歯磨き)では落とせない歯石や、磨き残して歯面にへばりついた歯垢を除去。さらに歯を1本1本清掃し磨き上げることで、新しい歯垢が付きにくい状態に。むし歯(虫歯)や歯周病になりにくいお口の環境に導きます。
治療ではなくあくまでむし歯(虫歯)や歯周病を予防する「予防歯科」の一環のため、保険適用外。費用は60分~90分で8,000円~15,000円程度と、クリニックによって違います。
保険診療の枠にとらわれないので、時間をかけて清掃することが可能。歯みがき(歯磨き)がまだ上手にできないお子様や、ワンランク上のケアを目指す人におすすめです。
シーラント:奥歯のむし歯(虫歯)予防
奥歯の深い溝を歯科用プラスチックでふさぐことで、磨きにくい溝に歯垢がたまりにくくする処置のこと。
主にお子様の「乳歯の奥歯」「生えたばかりの永久歯の奥歯」に対して行います。これらの歯は溝が深く、歯の質が弱いためむし歯(虫歯)リスクがとても高いのです。シーラントにはフッ素も含まれているので、歯を強くするはたらきもある優れもの。
一方で、「欠けたり外れたりすることがある」「欠けて段差ができるとプラークがたまりやすくなったり、むし歯(虫歯)の発見が遅れたりする」というデメリットもあります。
デメリットも考慮し、定期的な健診を受けながら活用するのがおすすめです。
シーラントは6歳~12歳のお子様で初期のむし歯(虫歯)があると診断された乳歯か、生えたての永久歯に対しては保険適用となり、3割負担の場合1本あたり400円~600円が費用の目安です。
スケーリング:歯石除去
歯に付着した歯石やプラークを「スケーラー」と呼ばれる器具で除去する処置のこと。
◆スケーラーの種類と目的◆
- 超音波スケーラー:広い歯面の大量の歯石を、超音波を使い短時間で効率よく取り除くための器具
- ハンドスケーラー:狭いすき間の歯石を手作業で取り除くための器具
歯周病治療の一環として行う場合は保険適用になり、費用は3割負担の方でおおよそ3,000円~4,000円。クリニックによって多少前後します。
ルートプレーニング:歯根の表面をなめらかにする処置
スケーリングの後、むし歯菌(虫歯菌)や歯周病菌によって汚染された歯根の表面をなめらかにする処置のこと。スケーリング+ルートプレーニングの処置のことを、「SRP」と呼びます。
歯石除去後の歯の表面はザラザラしていて、そのままにするとまた歯石ができやすくなってしまいます。そこで、表面をつるつるにして歯石ができにくい状態にすることが大切なのです。
保険診療では、歯根部まで進んでしまった歯周病がある方に対し、必要に応じて行われます。歯ごとに行う処置のため、歯1本につき200円~300円前後(保険適用・3割負担の場合)かかります。費用はクリニックにより多少前後します。
定期健診でブラッシング指導などを受ける
むし歯(虫歯)になりやすい人、歯石ができやすい人、お子様などは定期的に歯科クリニックに通い、歯やお口の状態をチェックしてもらうのもおすすめ。
特にブラッシング指導やフッ素塗布によりむし歯(虫歯)になりにくい歯に導くことや、PCR(プラークコントロールレコード)により、磨き残しのチェックをすることはセルフケアにも重要です。
◆PCR(プラークコントロールレコード)とは?◆
プラークコントロールレコードとは、「歯みがき(歯磨き)でどれだけ歯垢が取り除けているか調べる検査」のこと。
歯みがき(歯磨き)後に、専用の薬剤で磨き残した歯垢を赤く染めて歯科衛生士さんなどがチェック。専用のシートを使い、歯を4分割して、歯垢が残っている部分をペンで赤く塗っていきます。
赤く塗られた部分が全体の20%以下なら、プラークコントロールがしっかりできている証拠!磨き残しのチェックに役立つほか、定期的に受けることで「歯みがき(歯磨き)のレベルアップ具合」もわかりますよ。
親子で実践したいプラークコントロールの方法【自宅でできるセルフケア】
「セルフケア」についてもしっかりチェックしていきましょう。プロのケアはあくまで手助け。セルフケアこそ、プラークコントロールの基本です。
歯みがき(歯磨き):歯ブラシで物理的に歯垢を落とす
歯垢ができるまでは、食後およそ4~8時間ほど。毎食後の歯みがき(歯磨き)を習慣づけて、歯垢ができるスキを作らないようにしたいですね。
マメな歯みがき(歯磨き)はもちろん、正しいブラッシングも大切。歯ブラシで歯垢をかき落とし、物理的に歯垢を除去しましょう!
◆正しい歯の磨き方◆
- 歯ブラシの毛先を歯と歯の間や歯茎との間にしっかり当てる
- 歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で磨く
小刻みに動かし、1~2本ずつていねいに磨く
歯磨き粉を使って口の中が泡でいっぱいになると、それだけで歯みがき(歯磨き)をした気分になってしまうもの。しかし歯垢は粘着力が高いので、歯ブラシがきちんと当たっていないとかき落とすことができません。
「今どの部分の歯垢を落としているかな…」とイメージしながら、1箇所を20回以上かけてしっかり磨きましょう!
仕上げ磨き:大人による磨き残しのケア
子供はまだ一人で上手に歯みがき(歯磨き)をするのが難しいので、大人が仕上げ磨きしてサポートしてあげてください。基本的には、さきほど紹介した歯みがき(歯磨き)と方法は同じ。
ただしお子様の場合、とてもむし歯(虫歯)になりやすい歯があります。
- 奥歯の咬み合わせ上下左右4か所
- 上の前歯
これらの歯は、特に念入りに仕上げ磨きしてあげましょう。
フロスで物理的に歯垢を落とす
歯ブラシだけでは、どうしても歯の隙間に歯垢が残ってしまいがち。
歯ブラシだけのブラッシングでは、歯垢除去率は61%。デンタルフロスをプラスすると、79%にアップします。(※)
※日歯保存誌、48、272(2005年)
お口をいつもきれいな状態に保っておきたい方には、重要アイテムですね。
特に小さなお子様は、あごの成長や新しい歯が生えてくるのに伴い、歯のすき間が広くなったり狭くなったり、段差ができやすくなったりします。デンタルフロスを活用して細かい部分までしっかりケアしましょう。
おすすめの使用タイミングは、1日1回、夜寝る前の歯みがき(歯磨き)時。寝ている間は唾液の分泌も減ってしまうので、細菌が繁殖しやすいのです。寝る前の念入りなケアは、プラークコントロールにとても効果的なんですよ。
洗口液でのうがい:薬剤によるケア
歯垢は通常ブラッシングなどでかき落とす物理的な方法で除去しますが、デキストラナーゼという酵素を活用することで、「薬剤による歯垢の分解」が可能です。
デキストラナーゼは、日本で唯一「歯垢を分解する」と認められている有効成分。洗口液や歯磨き粉などに含まれています。成分表示でチェックしてみてくださいね。
どうしても歯みがき(歯磨き)できない時にデキストラナーゼ配合の洗口液でうがいをすることで、歯垢の分解に役立ち、歯への沈着を防ぎます。
食生活の改善
毎日の食事、よく噛んで食べていますか?適正な力で何度も噛み、ゆっくり食べることにより、唾液腺が刺激され、唾液の分泌を促します。
唾液は細菌の繁殖を抑えたり、細菌や食べかすを洗い流したりする効果が期待できる、プラークコントロールの力強い味方!
お子様の場合、「よく噛んで」というと強く噛みしめてしまう子もいるので、「1口30回噛もう」とか、「ゆっくり味わって食べようね」などの声掛けをしてあげてください。
また、間食が多い方は要注意!
むし歯菌(虫歯菌)は、食事や間食の糖分をエサにしてプラーク(歯垢)を作ります。プラークの中で増えたむし歯菌(虫歯菌)はさらに糖をエサにして酸を作り出し、お口の中を酸性に傾かせはじめます。
酸性に大きく傾くと歯の表面が溶ける「脱灰」が起こり、むし歯(虫歯)につながるのです。
規則正しい食事の場合、唾液の力でお口の中が酸性から中性に戻り、さらに溶けた歯を修復する「再石灰化」も起こるので、むし歯(虫歯)リスクが減ります。
しかし、だらだら食べたり間食が多かったりする人の場合、中性に戻るスキがなく酸性の状態が長く続きます。「脱灰」が起こる時間も長くなり、むし歯(虫歯)リスクが高くなってしまうのです。
三食を規則正しく摂り、食後は歯みがき(歯磨き)をして、糖分がお口にある時間をできるだけ少なくすることがプラークコントロールにはとても重要。
特にお子様の乳歯や生えたばかりの永久歯はやわらかくむし歯(虫歯)になりやすいので、キレイな歯を維持するためにもなるべく糖分は控えましょう。
大人も子供も、おやつを無理に食べる必要はありません。おやつはあくまで通常の食事の栄養を補う目的や、休憩時間の楽しみにしましょう。食べたら歯みがき(歯磨き)も忘れずに。
家族みんなで健やかな歯を保つ
実は、生まれたばかりの赤ちゃんのお口には、むし歯菌(虫歯菌)がいません。
むし歯(虫歯)があるパパやママが口移しやスプーンを共有してご飯をあげるのは、むし歯菌(虫歯菌)を感染させるリスク大!できるだけ避けたいものです。
しかし家族にむし歯(虫歯)がある人がいると、感染リスクは高いまま。そこで大切なのが、「パパやママのむし歯(虫歯)を治すこと」です!
兄弟姉妹から感染することもあるので、家族みんながむし歯(虫歯)の無い状態にすることが、赤ちゃんや子供をむし歯菌(虫歯菌)から守ることにとても大切なのです。
毎日の歯みがき(歯磨き)やフロス、洗口液でのうがい、食事の改善、定期的な歯科検診を受け、正しいプラークコントロールをすることで、もしむし歯菌(虫歯菌)に感染してしまってもむし歯(虫歯)をつくらせないようにしましょう!
家族みんながお口の健康に気を遣うことが、お互いのお口の健康を守り合うことにつながりますよ。
正しいプラークコントロールで大切な歯を守りましょう
家族のお口の健康やお子様の将来の歯のために、プラークコントロールは必須。
日本では厚生労働省が、「80歳になっても自分の歯を20本保ちましょう」という8020(ハチマルニイマル)運動を提唱しています。
80歳まで健康な歯を保つためにも、子供のころから正しいプラークコントロールを身につけておくことが大切。もちろん大人になってから実践しても、決して遅くはありません。
プラークコントロールで何よりも重要なのがセルフケアです。歯みがき(歯磨き)や洗口液でのうがい、フロスなどで歯垢をしっかり取り除きましょう。
お子様は大人ほど上手に歯みがき(歯磨き)ができないので、ぜひ大人の方が仕上げ磨きしてサポートしてあげてくださいね。
しかし毎日のケアだけでは、どうしても磨き残しができてしまうもの。
ぜひ歯科クリニックの定期検診を受けたり、むし歯(虫歯)になる前に歯をクリーニングしてもらったりして、プラークコントロールにも歯科クリニックを活用してくださいね。
※本記事は2024年4月時点での公式情報を元に編集したものです。最新の情報とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。
※保険適用外の自由診療となります。
※掲載している料金はすべて税込み価格です。